行方市は、南側から西側を霞ヶ浦の西浦、東側を霞ヶ浦の北浦に囲まれ、農畜水産物の生産に恵まれた地域です。ローム土壌の広大な台地により、さつまいもの栽培が盛んに行われています。行方市の農業は、さつまいもを中心に80品目の農産物が生産されており、1年を通して様々な野菜は生産され、首都圏の市場に供給しています。また、霞ヶ浦名産の公魚(わかさぎ)、白魚、川エビ、そして霞ヶ浦の豊富な水資源を利用して養殖さている鯉など川魚の水揚げがあり、佃煮やうま煮などの加工品が販売されています。さらには、ブランド牛の常陸牛、ブランド豚の行方米豚や美明豚などの畜産業も盛んで、良質なお肉を首都圏に出荷しています。
行方市域は、東京駅から直線距離で約70Kmの距離にあり、ロジスティクス等の発達により高い鮮度を維持したまま、首都圏に供給することが出来る地域です。これまでにも様々な農畜水産物を首都圏に供給して来ました。しかし、現代の農畜水産業が抱える課題は深刻で長期に及ぶものばかりです。農畜水産業の業界自らが簡単に解決策を見つけ出すことは困難です。私達の社会は、第一次産業について、これまで無関心でした。安価で、美味しく、安全・安心な農畜水産物を消費者は欲していますが、現在の農畜水産業が抱える課題は、それを許さないかも知れません。
私達『なめがたブランド戦略会議』では、農畜水産業従事者と地域が相互に巻き込んだ形で、これらの将来に渡る農畜水産業に係る課題の解決策を見出す仕組み作りが必要となって来ていると感じています。
私達は、地域課題を洗い出し、それら課題を地域で共有して解決策を地域活動として農畜水産業従事者や行政・住民が相互に考え、また、地域の農畜水産物をプロモーションすることで、消費者意識を理解し、消費者に寄り添う行方ブランドの確立を目指しています。行方地域の農畜水産業を守ることは、日本文化としての農畜水産業を守ることであり、それはつまり『和食(日本食)』を守る活動を推進することにつながっています。
和食(日本食)の心
2013年12月。「和食:日本伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。「和食」、「日本食」は、毎日の食事の中に四季が表され、季節毎に豊かな食材が使われています。茨城県は北海道に次ぐ農業県であり、その中でも行方地域は、1年を通して70品目以上の様々な農畜水産物が生産されています。行方地域だからこそ、農業を大切にする行方地域だからこそ、「和食」、「日本食」を大事に思っています。
なめがたブランド戦略会議は、「和食」、「日本食」を大事に思います。食事をする前、私達は「いただきます」と言い、食事を終えると「ごちそうさま」と言います。「いただきます」と「ごちそうさま」は、日本独自に発展した文化であり、地球上の70億人の中で、日本人だけが持つ文化です。
「いただきます」も「ごちそうさま」も仏教語です。「いただきます」には、主に禅宗の教えの中にある「五観の偈(ごかんのげ)」があり、食事に関する感謝の心を表します。「いただきます」には、以下5つの想いが込められていることを知りましょう。
五観の偈(ごかんのげ)
- 目前の食事がどのように出来たかを考え、これから食べる料理がどれだけ多くの人々の手によって作られたかを考え、携わった人々に感謝します。
- 多くの生命を食事によって頂くことと、自分の行いを比べ自分の行いがその価値に値するかどうかを反省します。
- 精神を穏やかにして、誤ったお行いを避けるため、むやみに欲するような気持ちを持たないと誓います。
- 食事により健康が維持されます。食事は良薬なので、健康のために正しく摂ります。
- 食事を頂くのは、自分自身の夢を成し遂げ、成功に導くためのものです。
「ごちそうさま」は、漢字で書くと「御馳走様」となる。この言葉は、3構成になっていて、「御」「馳走」「様」となります。まず、言葉の本体である「馳走」ですが、簡単に言うと食材を集めて料理を作るために走り回る。と言う意味です。一生懸命美味しいものを食べてに提供するために、料理の作り手が奔走することを「馳走」と言います。この「馳走」に「御」が付く事で、丁寧語になり、作り手が心を込めてと言う意味が付きます。最後に「様」ですが、この「様」が付くことで、これまでは料理の作り手の言葉だった「御馳走」が「様」により挨拶語になり、食べ手の言葉に変り、作り手に対する感謝の言葉となっています。心を込めて一生懸命食べ手のために作った料理を味わい、感謝の気持ちとしての「ごちそうさま」と言う言葉に現れています。
私達は、この「いただきます」と「ごちそうさま」に始まる「和食(日本食)の心」であり、私達なめがたブランド戦略会議は「日本文化」を今後も大切に継承してゆきます。