鮮度の良いシラウオは生のまま丸ごと美味しく食べることが出来ます。また、ミネラルとビタミンが豊富で様々な調理方法に合います。
シラウオはかつて帆引網漁で撮っていた魚の一つで、美しく透きとおった姿から「霞ヶ浦のダイヤモンド」とも呼ばれています。
ワカサギとともに行方の湖の幸として親しまれており、霞ヶ浦での生産量は全国第二位。
透明感の高いものほど鮮度が良く、刺し身としても、温かいごはんの上にのせて丼にして食べるのもおすすめです。
現在、水産物の高付加価値化として、なめがた地域活性化協議会ではシラウオのAI装置を用いた鮮度評価システムの構築をおこなっています。新鮮なシラウオを消費者へお届けする努力を重ねています。シラウオで地域を活性化し、霞ヶ浦の水産物が輝く未来へ向かって活動しています。
茨城県の南東部に広がる霞ヶ浦は、滋賀県の琵琶湖に次いで日本で2番目の大きさを誇る湖です。多くの水産資源に恵まれ、現在は約50種類の魚が生息しています。その中でも、国内漁獲量第2位を占めるシラウオは、その透き通った美しい姿から「霞ヶ浦のダイヤモンド」といわれています。解禁日となる7月21日を迎えると、行方市の漁師たちは新鮮なシラウオを求めて霞ヶ浦沖へと船を出します。
■シラウオは鮮度の良し悪しが一目でわかる繊細な魚
辛うじて月明かりはあるものの、まだ夜闇が広がる午前2時半、たくさんの氷を積んだ1隻の船が霞ヶ浦沖に向かって出発しました。11月下旬のこの時間の気温は5度前後。舵を握る漁師・伊藤一郎さんの息も白くみえます。
霞ヶ浦を漁場とする漁師たちにとって、シラウオ漁は重要な生活資源です。資源保全のため、毎年、漁ができるのは決められた時間のみ。その時間も年によって変わることもありますが、今年は午前2時半~午前6時半までがこの時期の漁獲可能時間です。漁師たちはこの時間内に「トロール」と呼ばれる動力船に乗り、「曳き網漁」でシラウオを獲ります。
この日も伊藤さんはGPSでシラウオの位置を追いつつ、風向きや水温も考慮してピンポイントで目の細かい網を投げ入れました。その後はスクリューによる波を巧みに交わしながら、船のスピードや位置を変えて網を引いていきます。このポイントの見つけ方や網の位置、船の操縦には、漁師歴40年以上の伊藤さんの勘も大いに発揮されています。
霞ヶ浦のシラウオは、スーパーなどでよく目にするシラスとは異なります。シラスはイワシなどの稚魚の総称ですが、シラウオはサケ目シラウオ科の魚です。霞ヶ浦のシラウオは、他の産地と比べても成長が早く、漁の解禁日ごろは4~5㎝ほどの体長も、12月になると10㎝ほどの大きさに成長します。伊藤さん曰く、「成長の過程で味わいが変わってくるのもシラウオの特徴」だといいます。
「シラウオ独特の苦みを伴う深い味わいを楽しみたいなら、栄養をたっぷり蓄えた冬の時期のシラウオがおすすめだし、あっさりとした味を好むのなら夏の若いシラウオがいいですね。シラウオの旬は食べる人の好みによるけど、鮮度がよければどの時期でも美味しく食べられますよ
鮮度が重要なのはどの魚も同じですが、とりわけ身が細く小さなシラウオは鮮度の良し悪しが一目でわかるといいます。だからこそ、伊藤さんはシラウオを傷つけず、高い鮮度を保つために細心の注意を払って漁をしています。
「寒くなると、シラウオは湖の底にいく習性があるので、そのときは網を底に下ろして引いていきます。でも網を長く引いてしまうとシラウオが弱るので、夏場は30分くらい、冬場は長くて1時間を目安に網を引き上げるんですよ」
■鮮度へのこだわりの裏には、霞ヶ浦の資源と事業承継への思い
網から引き上げられたシラウオは、内臓まで透けるほど無色透明。朝日を受けてキラキラと輝く姿はまさに「ダイヤモンド」のようです。すると、伊藤さんはすぐさまシラウオの中に大量の氷(クラッシュアイス)を投入していきました。
「これはシラウオの鮮度を保つためです。網を上げてすぐに氷を入れるとシラウオは仮死状態となるので、これ以上鮮度が落ちることはありません。少しでも鮮度が落ちて弱ってしまうと、その後にいくら氷で冷やしても元の新鮮な状態には戻らないんです。私はこれまで鮮度のいいものを獲る、それだけを念頭に漁をしてきました。だから網もできる限り短時間で引いてきたのですが、漁を終えて港に着くころには活きの良かったシラウオが弱っていることがあって。そうか、港に戻るまでの間に鮮度が落ちるんだと気づいたんです。それからは網を上げたらすぐ氷で冷やすようにしました
今は保存に適した氷の量なども把握していますが、初めのころはそれすらも分からず、試行錯誤を繰り返してきたと話す伊藤さん。しかも、大量の氷を作るために大型の製氷機や冷蔵庫を買い替えるなど設備投資も行ってきました。今では多くの漁師が伊藤さんと同じようにたくさんの氷を積んでシラウオ漁に出ていますが、それこそ始めた10年くらい前は周囲の理解を得るのもなかなか難しかったといいます。
漁を終え、港に戻った伊藤さんは、氷漬けしたシラウオをすぐさま作業場へと移します。そして、そのままの状態で氷水の入った大きな容器の中へ投入しました。これは「ザップがけ」という、シラウオとそれ以外のワカサギやエビなどを選別するための作業です。シラウオの鮮度を保つため、どんなに寒くても氷水は欠かさず、またデリケートなシラウオを傷つけないように作業はすべて人の手で行います。
伊藤さんがここまで徹底して鮮度にこだわるのは、お客様に新鮮なシラウオを食べてほしいという思いだけではありません。そこには次世代まで霞ヶ浦の豊かな資源を残したいという、強い思いがあるからです。
「新鮮なシラウオは身がシャキッとして、食感もプリプリして美味しいんです。シラウオの美味しさは鮮度と直結しているといってもいいくらい。だから、鮮度のいいシラウオは高値で取引されるんです。高値で卸すことができれば、大量にシラウオを獲る必要もない。でも卸値が低いと生活のために量で補わなくてはいけなくなります。大量に獲ってしまうと霞ヶ浦の資源が枯渇する。つまり悪循環に陥ってしまって、次の世代に引き継ぐこともできなくなるのです。」
魚穫量を抑えることができれば、今4時間かけて行う漁も短時間で済み、また網の消耗も燃料費も抑えることができます。それは漁師たちの働く環境の改善にもつながることで、目下の課題ともいえる後継者問題の解消にも大きく寄与できるかもしれません。
■最新テクノロジーでシラウオの鮮度の良さを可視化
さらに、霞ヶ浦のシラウオの鮮度の高さを裏付ける、新たな取り組みも始まっています。それはシラウオの鮮度をチェックするAI(人工知能)の導入です。これまで霞ヶ浦のシラウオは、伊藤さんら漁師や市場の方たちが鮮度の良し悪しを判定してきましたが、今後はその漁師たちの“目利き”をAIが客観的に可視化し、安定した品質のシラウオを市場へ供給することが可能となります。
「AIの導入は霞ヶ浦のシラウオの鮮度にお墨付きを与えるようなものです。すでに何度かテストを行い、実際の数値を見てきましたが、その結果は我々の取り組みが自信を持てるものだったことを確証づけるものでした。今後、もし良い判定結果が出なければ、どこがだめだったのかと振り返るよいきっかけにもなると思います。」
現在、漁業者を中心に 行方市 および なめがた地域活性化協議会 では、一般社団法人awa酒協会の設立や日本酒の醸造プロセスへのAI導入に取り組んできた株式会社imaとタッグを組み、独自の指標設定に向けてさまざまな機関と協力しながらプロジェクトを進めています。AIによる“スマート漁業”の取り組みは、すでにマグロ漁やサンマ漁などで実施されていますが、より鮮度に特化したこれらの試みはそれだけシラウオの鮮度に自信を持っているということの表れともいえます。AIによって付加価値がさらに増すシラウオ。その美味しさをもっと多くの人たちに知ってもらうことができたら、それは行方市のブランド化、活性化にもきっとつながっていくはずです。
「AIの導入には多くの漁師たちが期待しています。この取り組みが成功すれば、霞ヶ浦だけではなく、もっと多くの地域の漁師たちの役に立つと思います。漁師をやっている以上、私は鮮度のいいものをもっと多くの人たちに届けたい。だから、これからもめげることなく、新しいものにどんどんチャレンジしていきたいですね」
新たな取り組みによって、さらに光り輝く「霞ヶ浦のダイヤモンド」。シラウオの独特のプリプリとした食感と淡泊な甘み、そして苦みを味わうなら、生のシラウオが一番です。ぜひ、新鮮な生のシラウオを存分に味わってください。
なめがたさんちの特選マルシェ | https://www.namegatasanchino.com/view/category/ct8 |
---|---|
ふるさと納税 | https://namegata-machi.jp/page/dir000002.html |